【ハン・ソロ】スターウォーズの世界観とフィリピン

先週、スターウォーズのスピンオフ作品「ハンソロ / スターウォーズ・ストーリー」を観てきました。個人的にスターウォーズシリーズが好きで、未来的なテクノロジー(武器兵器・エネルギー等のインフラなど)や超想像的な宇宙文化(各惑星の営みや銀河共和国政府、帝国軍など)、随所で登場するクリーチャー達(宇宙人、宇宙生物、ドロイドなど)のデザインに想像力を掻き立てられる点で非常に興味深い作品だと思っています(正直、ストーリーにはあまり興味がないので、今までの流れはほぼ忘れてしまっています)。

本作品では、スターウォーズシリーズとしては珍しくジェダイやフォースの要素はほぼ(一切)出てこないため、一部のファンにとってはつまらない映画だったかもしれません。けれども、変にスピリチュアル要素を含むフォース(個人的見解)やジェダイが登場してくるヒーローものの物語よりは、想像力溢れた「宇宙文明」という点によりフォーカスして観ることができ、個人的にはとても楽しむことができましたし、色々と考えさせられるものがありました。

要はスターウォーズを観て、こんな所に感動した!こんなことを考えた!といった感想を皆さんと共有したいだけなのですが、Facebookの個人ページで共有しても長すぎるし、それ用に別ブログを開設するのも面倒なので、今回は無理やりフィリピンを絡めてスターウォーズを語ることで、本サイトに場を借りて投稿してみることにしました。笑

※尚、本記事はネタバレを多く含む内容となりますので、これから「ハンソロ」を観る予定の方はお気をつけください。


主題は「人権」。L3というドロイドが、人権問題を分かりやすく描写している。

本作品を観て一番考えさせられたのは、「人権」について。特に、ランドの相棒として登場するドロイド(L3)が、スターウォーズ世界での人権(?)問題として分かりやすく風刺していました。

「ドロイドに自由を!」とか、「ドロイドの平等と権利を!」みたいな発言が随所であった(曖昧)と思いますが、この「ドロイド」の部分は男女差別とか人種差別といったワードに置き換えることもできますよね。L3の描写は、やり過ぎなくらい人間的な感情を含ませていて(羞恥心や愛情など)、ジョークっぽく喋っているシーンでは笑っている人もいたけれども(特に欧米人)、実はものすごく本質をついている部分でもありました。

あえてフィリピンを例えに出せば、歴史上約500年に渡り欧米列強(特にスペイン、アメリカ、日本)から搾取され続けた背景には、当時の「黒くて小さな下等種」だとか、「(キリスト教の)教えを知らない野蛮人」等の表現※1にみられるような人権軽視の考えが根底にあり、これらは搾取される側に対しての想像力の欠如が大きな原因の一つだと考えています。

現在、人間社会においての人権意識は、中世世界以前でのそれと比べればだいぶましにはなっているものの(まだまだ課題はあるけれども※2)、生命豊かな地球には我々以外にもたくさんの動植物が生活しているし、さらにはAIやロボット技術進歩の過度期でもあります。L3の内面的デザインは、人権はもとより、動物愛護・共存的な領域や、その先にある知的物質(?)に対しての権利についてまで、想像力を膨らませる良いきっかけとして意図されていた気がします。


戦争映画、多くの犠牲の上に目指しているものは、当然の権利であるべき「自由」。

ハンソロの帝国兵時代のシーン(歩兵)で感じたのですが、スター「ウォーズ」というだけあって、やはり戦争映画なんだなというのを再認識しました。様々な未来的兵器を使って、殺戮に殺戮を繰り返す描写。強盗・略奪・殺人行為等も、たいていの惑星において当たり前のように横行しています。

けれども、戦争に参加している兵士(傭兵)や盗賊達の背景を探るとまた複雑で、奴隷状態から解放されるための資金集めだったり、恋人と一緒に暮らすためだったり、引退後の安定生活のためであったり、、現代日本人の誰もが、生れながらに持っているような「自由」を得るために、必死に戦っている場合がほとんどなのです(例えば、ハンソロの師匠ベケットの夢は、盗賊を引退した後に何かしらの弦楽器?の演奏を習うことでした)。

命をかけて、大切なものを失ってでも、彼らが手にしたいものは、現在我々が当たり前のように手にしている当たり前の権利。。ただし、日本人もフィリピン人も昔からこの権利を手にしていたわけではなく、ご存知の通り先の大戦やさまざまな民主運動等を経て、多くの先人達の犠牲の上に成り立っている「無償の恩恵」です。スターウォーズ世界のテクノロジーは、2018年時点での地球とは比べ物にならないくらい進歩しているけれども、権利とか民主主義といった観点から考えると、地球でいえば中世時代レベルの後進世界です。その点、テクノロジー以外の側面からも文明の進歩を支えてくれた地球の先人には感謝しなくてはいけないとともに、生まれながらに文明の活動に専念できる我々は、後世代のために貢献すべくこの権利を最大限に生かすべきだと思いました。


貧富の格差という共通の課題(スターウォーズ世界とフィリピン)

タトゥイーン(アナキンやルークの出身地)といい、コレリアン(ハンソロの出身地)といい、多くのヒューマノイド(人間をはじめとする知的生物)は奴隷か、そうでなければ何らかの組織に囚われている状態(印象)にあります。現在の地球は、奴隷のように極端で分かりやすい形での労働力・生命・あるいは性的搾取をされている人は少数ですが、資本主義の構造から考えると、地球でもほとんどの人がお金の奴隷状態になっているし、連日ニュース等でも報道されている通り、まだまだ課題は山積みですよね。

結局、世の中「お金」となってしまっているのが、残念ながらの現状。特にコレリアンの状況を考えると、フィリピンが抱える大きな社会問題の一つである「貧富の格差」という点ですごく近いものがあるなと感じました。ジニ係数は40%を超え、貧困率は25%と東南アジアでも突出してひどい状況にあるフィリピン※3。貧富の格差は固定され、富裕層の家にでも生まれない限りその連鎖からは抜け出せない不条理にあるのがフィリピンの実際です(その原因は、スペイン統治時代のエンコミエンダ制による大土地(農園)所有や、アメリカ統治時代に進められたモノカルチャー経済、戦後に農業労働者を製造業労働・都市部へ移行できなかった産業構造等々に求められます※3)。

現在ドゥテルテ大統領が進めている、過激な犯罪取り締まり(薬物等)について考えても、そもそも犯罪をやりたくて生まれて来る人など稀なはずで、そうせざるを得ない状況に追い込まれていた人が大勢いたという点が問題であり(犯罪は犯罪なので擁護したいわけではないけど)、強制的に盗賊行為をさせられていたハンソロやキーラ達の状況に近いものがあるのかなと想像できました。


ハンソロの命を救ったのは「語学力」だった

最後は無理やりセブ留学につなげますが、映画前半でハンソロの相棒チューバッカとの出会いのエピソードがあります。本来であれば、ハンソロはそこでチューバッカの餌となり食べられて終わりだったのですが、、彼はたまたまウーキー族の言葉を知っていたため、チューバッカと交渉をして生きながらえることに成功し、さらには永遠の相棒として共に生活するようになったのです。

スターウォーズの世界にはC-3POをはじめとした優秀な翻訳ドロイドはたくさんいるはずだし、翻訳デバイスなんかも高性能なものが安価で簡単に手に入りそうな気もします。けれども、ハンとチューイの友情は、直接肉声でやりとりするからこそ深まっていった部分は大きいのではないでしょうか。

さすがに、「いつか餌にされた時のために英語を勉強する!」みたいなモチベーションで勉強を勧めるのは無理がありますが、言葉が人種(地球では国籍)の壁を超え、他民族間での交流を可能とし信頼や友情(場合によっては愛も?)の幅を広げていく体験は、是非みなさんにも実際に留学することで味わっていただければ嬉しいです。


まとめ

結局、無理やり感の強い強引な記事になってしまいましたね。スターウォーズはもちろんストーリーも素晴らしいし、今後の展開を予測してみたりするものものすごく楽しいです(例えば「キーラの正体」についての考察など)。ただ、実際に観てみた印象としてストーリー以外に気になった点が色々あったということと、常にフィリピンのことを考えているためか妙に重ねて観てしまった、というのが本記事の主題でした。

人権問題について個人的には考えさせられ、テクノロジーの進歩の先にある未来の問題予測と、技術革新の方向性だけでは真の文明発展にはならないのではないかということ。それから、ハンソロの故郷が抱える問題とフィリピンのそれとの共通点、最後はセブ留学のおすすめ。笑 フィリピンでは、「スターウォーズは子どもの観る映画」との認識が強い傾向にありますが、実はかなり深い作品だと思っています。

…完全にただ書きたかっただけの自己満足状態でしたが、まだまだ補足しきれない部分はたくさんあるので、最後に参考文献を載せて終わりにします。


※1:アメリカに喧嘩を売る国 -フィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテの政治手腕/古谷経衡著、KKベストセラーズ p160 …当時の朝日新聞記事より。著者も明確に予防線を張っているように、これを肯定するつもりは一切ありませんが、説明のために。

※2:フィリピンパプ嬢の社会学/中島弘象著、新潮新書 …あくまで問題の一部として、偽装ビザや日本人ヤクザの巧みな拘束により、労働力の搾取をされているフィリピンパブ嬢の実際や、フィリピンにおける家族文化・消費行動の特殊性などについて、実体験をもとに分かりやすく書かれている。

※3:フィリピン ー急成長する若き「大国」/井出壌治著、中公新書 …フィリピンの現状について、経済・政治・歴史・地理等様々な角度から分かりやすくまとめられています。中途半端にしか書けなかった部分も多いので、詳細はこちらを読んでもらえるとよくわかるかと思います。

セカイチ塾・フィリピン留学ゼミ

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